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お金を貯めることを通じて、人生を豊かに生きるヒントをアツく語る当サイトの管理人「ぱんぱんぱぱ」です。
さて、あろうことか京都大学iPS細胞研究所の准教授が論文を捏造するという事件が起きてしまいました。
あの日本の至宝ノーベル生理学・医学賞受賞者の山中教授の研究所です。
しかし、この陰には研究職に安定的な雇用がほとんどないという過酷すぎる雇用環境があります。
過酷な研究職の実態と処遇改善について、実例を挟みながら考えてみます。
1 末は博士か大臣か
いつの世も、我が子に対する期待は高いものです。
親は誰でも親バカです。
いつかこの子は、博士か大臣に出世するかもしれない。
そう願ってこの言葉は明治の頃から連綿と息づいています。
しかし、博士が出世を意味する時代は当の昔に消えました。
むしろ現在は、ポストドクター、オーバードクター問題さらには野良ドクターとまで揶揄され、わが国の基礎研究に対する裾野の狭さが教育界では大変な問題となっています。
2 ポスドクオーディ問題
ポストドクターとは、大学で博士課程を学び、博士号を取得し、身分は不安定ながらも研究職についている人たちです。
全国で約15,000人前後いるとされています。
(引用:中央教育審議会大学部会大学院部会H20)
これに対し、オーバードクターとは、大学で博士号を取得し、卒業はしたものの就職先がなく、そのまま大学で研究生として研究している人たちです。
全国で約1,800人前後いるとされています。
(引用:中央教育審議会大学部会大学院部会H20)
こういった人たちは、合わせて全国で17,000人を超えるとされています。
大学で、博士号を取得するためには、4年生大学で学位を取得した後、2年間学び修士を取得しなければなりません。
そして、博士課程を学び、最短でも3年以上学ばなければなりません。
つまり、博士号を取得するためには最低でも、29歳の年齢を必要とします。
医歯薬獣医学等の大学は、6年制の大学なので、博士号を取得するためにはさらに年月が必要です。
博士号を取得するためにはものすごい教育費と時間を必要とします。
博士課程で学ぶには、よほど家が裕福でないと難しいとされる由縁です。
3 研究職への道
その中でも、研究職へ歩める人は、一握りのわずかな人だけです。
ほとんどの人は、途中で夢を断念するしかありません。
その理由は、大学や国の研究機関は極めて少ないことが挙げられます。
少子化の影響で、大学の経営は極めて厳しくなっています。
国立大学はすでに国立大学法人として、独立採算制に移行しています。
年々予算は削られ、そのしわ寄せは人件費に向かっています。
せっかく博士課程を修了しても、研究職への道は極めて厳しい道のりです。
4 今事件の真相
ネット情報ですので正確性を欠くことをご勘弁ください。
研究所のスタッフは300人体制であるにもかかわらず、非正規雇用研究職員は9割だそうです。
不正論文を発表した准教授も有期採用の研究職であったそうです。
大体期限は、5年以内です。
5年以内に、学会が認める論文を発表しないと雇い止めとなってしまう恐れがあります。
地獄のような採用方法です。
5 民間企業は博士号取得者を遠ざける方向にある現実
誰よりも研究に打ち込み、勉強してきたのですから、企業としては博士号取得者を奪い合うような気がします。
しかし、現実は違います。
できることなら博士号取得者を避けたがる傾向にあります。
一般の方は、意外に思われると思います。
その理由は、ひたむきに研究してきたが故の悲劇です。
文部科学省の資料によれば、次の3つが大きな理由とされます。
1 協調性
2 コミュニケーション力
3 業務遂行能力
(引用:中央教育審議会大学部会大学院部会H20)
研究職は研究ばかりしてきたが故、協調性がなく、コミュニケーションが取れず、目標達成能力に乏しいと考えています。
当たらずとも遠からずのイメージではないでしょうか。
管理人の会社の部署でも、バブルで余裕のある頃に、3人の博士号を持つ研究職を正社員として雇い上げしたことがあります。
その結果ですが、1人は3年で辞め、大学の道を歩みました。
1人はセクハラ問題を起こし、私よりも過酷な部署へ異動させられました。
50歳を越えて今でも独身です。
もう一人は、無念ですが自ら命を絶ちました。
博士だからではないと思いますが、それ以来博士採用はたった1人です。
6 管理人の研究室の場合
ポストドクターやオーバードクター問題は何も今に始まったことではありません。
管理人は技術屋です。
大学は理系で学びました。
4年生になると、各研究室に所属することになります。
もうビックリの世界でした。
30歳を超えたオーバードクターやポストドクターがゴロゴロいたからです。
金がない金がないといつもいっていました。
当時22歳だった私は、30歳になったら漠然と結婚してマイホームに住むと思っていたので衝撃でした。
最長は、なんと44歳のオーバードクターでした。
もはやこれでは社会に出ても通用はできないと思いました。
教授の世話で、私立の助教授ポストに収まってもすぐ止めるし、民間機関に就職しても続きませんでした。
とても哀れですが、本人はわかっていないのが、ことさら哀れでした。
管理人は学生時代、教授に修士進学をススメられましたが断固拒否しました。(^^;
しばらく未練はありましたが、今となっては断って良かったと思っています。
7 まとめ
いかがでしたか。
論文を捏造することは、科学の叡智をないがしろにするもので、決してあってはならないものです。
しかし、研究職の置かれた処遇のことを考えるともう少し方法はないものかと思います。
基礎研究を地道に続けていかないと、世紀の大発見には結びつきません。
保育所を確保する政策も大事ですが、いずれ子は育ちます。
育った子供が、博士にあこがれて、研究者を目指そうにもこの環境では、親の立場では到底勧められるものではありません。
博士として活躍できる研究機関をもっと充実させていくことを期待したいものです。
親にとっても、教育には莫大なお金がかかります。
普通の家庭で博士課程に進まれては、家計は火の車です。
さらに野良ドクターになられたのでは、暗澹たる未来しか待っていません。
あの44歳のオーバードクターは何をやっているのか、消息はまったくわかりません。
それでは