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ふるさと納税返礼品バトルで、まつろわぬ自治体が得るもの失うもの

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最終更新2019.7.25
ふるさと納税制度は、2019年6月1日より大きく変わりました。
当ブログは昔はよかったアーカイブとしてお読みください。

ようこそ(^^)/

人生を豊かに生きるヒントを考える当サイトの管理人ぱんぱんぱぱです。

さて、行き過ぎたふるさと納税返礼品競争が大きな関心となっています。

これを是正するための地方税法改正が、第198回通常国会で現在審議中です。

会期2019.1.28~2019.6.28予定

順調に行けば、国会は6月28日に閉会します。

国会

改正地方税法は、成立する6月28日に即日施行の可能性が高いです。(未)

地方税法改正後は、ふるさと納税の返礼品を提供する場合、寄付金額の概ね3割程度相当の地場産品とする自治体を対象とします。

このルールを逸脱した自治体は、地方税法第37条の2「道府県民税の寄附金税額控除」及び同法第314条の7「市町村民税の寄附金税額控除」の適用除外となります。

適用除外の自治体に、いくらふるさと納税しても、寄付金控除の対象とならなくなるので、注意が必要です。

2019年3月末までやりたい放題だった大阪府泉佐野市も2019年4月からは総務省の指示に従うとしています。

しかし、これまで2年間にわたり、総務省は過度な返礼率や商品券や高額な電化製品を止めるよう総務大臣通知を発出したり、直接首長を呼び出し、是正助言を行ってきました。

しかしながら、まつろわぬ自治体は、少なからず存在しました。

さらには、閉店キャンペーンと称し、アマゾンギフト券を10%~20%もつけて100億円還元キャンペーンまで行う自治体も現れ、総務省の権威は地に墜ちた状態に見えます。

大阪府泉佐野市ふるさと納税

果たして、2017年から2年間にわたって繰り広げられた総務省とまつろわぬ自治体との間のバトルで、まつろわぬ自治体は何を得て何を失うのでしょうか?

いよいよ総務省の逆襲がいよいよ始まりました。

地方交付税という伝家の宝刀です。

泣くのは何も知らない住民です。

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1 総務省には、地方交付税を交付する権限がある

ついに総務省の怒りは頂点に達しました。

2000年4月に施行された地方分権推進一括法により、機関委任事務を取り止め、国と地方は対等な関係とはなりました。

しかし、現実は違います。

国には地方交付税という伝家の宝刀があります。

税

一般に税金は、国6割地方4割といって、国が税収の6割を握っています。

しかも国は、国税5税といって、もっとも歳入額の高い所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税を握っています。

税務署

この中から、法人税、酒税、消費税及びたばこ税を25%~34%の割合で捻出し、地方交付税の名目で地方不均衡是正のため分配しています。

平成30年の実績は、実に17兆2,390億円を交付しています。

地方交付税は、地方歳入総額の17.0%にも及びます。

東京都や川崎市のようにごく一部の歳入の多い自治体をのぞいて、地方交付税なしに予算は成立しないのが、現実です。

これが国の力の源です。

国の施策や方針に従わなければ、今回のようにいつでも地方交付税をカットすることが可能です。  

2 ふるさと納税是正指導に従わない自治体に特別交付税不交付へ

ついにやられる一方だった総務省が自治体に牙を剥きました。

ふるさと納税の行き過ぎた返礼品競争を、かねてより問題視してきた総務省がついに伝家の宝刀を抜いた。

石田真敏総務相は22日、2018年度特別交付税の3月配分額をめぐり、大阪府泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町に対しては、災害対応の分を除いて配分をしないと発表した。

business.nikkei.com

総務省は、ふるさと納税をかき集める4市町に対し、特別交付税のすべてまたは一部の配分を取り止めました。

4市町への配分額は、泉佐野市が昨年度比1億9500万円減の6200万円。

小山町が7400万円減の0円。

高野町が2億3300万円減の2000万円。

みやき町が2億900万円減の200万円。

これら4市町はいずれも総務省のふるさと納税返礼品ルールに従わない自治体です。

特に大阪府泉佐野市は、2019年3月末までさのちょくと呼ばれるポータルサイトを市自ら開設している力の入れようで、平成31年ふるさと納税額では全国第1位の360億円をかき集めました。

市税収入見込み額(209億円)の約1.7倍だそうです。

何かがおかしいと思うのは、管理人だけでしょうか?

www.sankei.com

3 地方税法第37条の2及び同法第314条の7の適用除外は?

まだ、地方税法改正とはなっていませんが、石田法務省は、3月以前に遡って、適用除外自治体の審査の対象とすることを取材で回答しています。

つまり、今回特別交付税減額対象となった自治体は、改正地方税法適用除外となる可能性は高くなります。

www.sankei.com

4 ふるさと納税適用除外となった場合の損失額は?

大阪府泉佐野市は、平成31年度ふるさと納税で全国一の寄付額360億円をかき集めました。

その手口は、返礼品を1,000種類以上準備し、市のホームページをさのちょくと称し、カタログショッピングサイトのように充実させ、しかも返礼率を4割にしたところにあります。

全国から100万件以上のふるさと納税事務が増えたため、人件費やシステム代、通信費などの事務費用が、膨大な予算となったのは想像に難くありません。

自治体の決算は、9月なので収益はわかりません。

ただ返礼品が4割、事務事業費が3割とすると、3割分が、真水の収入となります。

ざっと108億円です。

適用除外となれば、おそらく1件もふるさと納税する人は皆無となるので、108億円を失うこととなります。

泉佐野市のこれまでのふるさと納税額です。

平成26年度  4億7千万円

平成27年度   11億5千万円

平成28年度   34億8千万円

平成29年度    135億円

平成30年度    360億円

平成26年度頃は、過度な返礼品を準備はしてはいなかったはずです。

返礼品率30%でかつ地場産品の返礼品であれば、最低でも年間5億円は確保することができると思います。

適用除外自治体となれば、年間約5億円を損失していきます。

平成30年度の寄付額360億円の真水分108億円は、約21年のふるさと納税のトータル額と同じです。

平成29年度の真水分40.5億円の場合は、約8年のふるさと納税のトータル額と同じです。

こうしてみると、改正地方税法で適用除外自治体となれば、この数年のバブルふるさと納税で手に入れた収益も、数10年のうちに枯渇させ、結局は損をしてしまうことになる計算です。

これが総務省の逆襲と考えたら、末恐ろしい話です。

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5 まとめ

いかがでしたか?

ふるさと納税の本来の理念は地方創生です。

ふるさと納税

納税する地方税を応援支援したい自治体に寄付することで、少しでも地方創生することが目的です。

しかし、いつの間にか自治体間競争が激しさを増し、返礼品競争となってしまったことが、地方税法を改正することにまで結びついてしまいました。

しかし、長い目で見ると、まつろわぬ自治体には、常に地方交付税を停止または減額という動きは残ります。

また、適用除外となれば、まるまるふるさと納税による寄付金収入がなくなり、大きな歳入減となってしまうことになりかねません。

国と自治体のバトルは、最終的に国が勝つのが通例です。

それがわかっていれば、従うべき時は従うという方法で、返礼率や返礼対象品を考えるという手立てはあったのではないかと考えます。

くれぐれも適用除外自治体には、まちがっても寄付しないようにしたいものです。

ブログとふるさと納税に愛と真の情報を

それでは