最終更新2019.7.25
ふるさと納税制度は、2019年6月1日より大きく変わりました。
当ブログは昔はよかったアーカイブとしてお読みください。
ようこそ(^^)/
人生を豊かに生きるヒントを考える当サイトの管理人ぱんぱんぱぱです。
さて、2018年ふるさと納税は、2018年12月31日を持って、原則終了となりました。
みなさんは、ふるさと納税を上限までお使いになりましたか?
ふるさと納税は、返礼品に目がくらみ、住んでいる自治体の税収を顧みない利用者が悪いわけではありません。
制度設計を作った国が悪いだけです。
最近は、各区市町村の首長が、「天下の愚策」、「愚策中の愚策」と公然といい始めています。
それもそうです。
ふるさと納税制度は、我が国にも寄付金文化を定着させ、都市部から地方に税金をシフトする狙いがありました。
しかし、その見通しはまったく甘いものとなりました。
都市部だけでなく、地方でもふるさと納税を利用する人が、激増しています。
都市部に住んでいる人も、地方に住んでいる人も、返礼率の高い自治体や商品券や旅行券や電化製品を返礼品とする自治体にふるさと納税するようになる傾向がますます強くなってきています。
その結果、なんと6割もの自治体が住民税が減り、税収が減っている事態に発展しています。
2019年からは、返礼品3割以下かつ地場産品に限るとする条件を守らない自治体は、ふるさと納税の税控除を受けられないとすることになります。
早ければ2019年6月通常国会で地方税法が改正されて、施行されます。
管理人は地方税法を改正したとしても、ふるさと納税を納める人は増え続け、自治体間格差は広がる一方となると予想しています。
格差が今後ますます広がっていくと、いつかふるさと納税制度は破綻してしまい、ふるさと納税制度が廃止となるかもしれません。
大変危惧しています。
ふるさと納税で、得をするのは、結局は新たなビジネスチャンスとなったIT企業となりそうです。
風が吹けば、誰が桶屋となって儲かるのか、考えてみます。
- 1 2018年12月27日総務省の恥ずかしすぎる現況調査結果公表
- 2 朝日新聞調査結果の衝撃
- 3 大阪府泉佐野市の場合
- 4 泉佐野市の平成30年予算
- 5 今後給与所得者全員がふるさと納税を始めたら?
- 6 まとめ
1 2018年12月27日総務省の恥ずかしすぎる現況調査結果公表
総務省では、11月に続いて、12月20日から25日にかけて、ふるさと納税現況調査を実施し、12月27日に公表しました。
その結果は、総務省の看板に泥を塗るような散々な結果となりました。
返礼率が3割を超えている自治体
22自治体→52自治体
30自治体も増加していました!
返礼品が地場産品ではない自治体
69自治体→100自治体
31自治体も増加していました。
総務省の権威は、地に堕ちています。
総務大臣通知にまつろわないしたたかな自治体の勝利です。
自治体の中には、総務省の調査が期間限定であることをあざ笑うかのごとくの振る舞いを行った自治体が増えています。
ふるさと納税返礼品を期間限定として、総務省調査をすり抜けた自治体が増えたわけです。
ルールを逸脱した自治体にお咎めがないことを横目で見ていた自治体が、我も我もと返礼ルールを破りました。
納税者だって、少しでも得したいので、返礼品3割超えの高額返礼品を用意している自治体に寄付したくなるのは必然です。
12月末期には、返礼率3割を超え、商品券や旅行券だけでは、他の自治体に負けてしまうと、自治体の予算で、アマゾンギフト券を上乗せする自治体まで現れました。
もうメチャクチャです。
すべては、国の愚策のせいです。
繰り返しますが、制度を利用する納税者は何も悪くありません。
2 朝日新聞調査結果の衝撃
朝日新聞では、総務省がまとめて発表している全国ふるさと納税寄付状況を丹念に調査しました。
その結果は衝撃的です。
市町村と東京23区の計1741自治体のうち、赤字が拡大または黒字が縮小したのは58・3%(1015自治体)。町村に限っても49・8%が悪化していた。
背景には、豪華な返礼品で寄付を集める「勝ち組」の存在がある。
寄付受け入れ額の上位50自治体に全国の総額(17年度3653億円)の約4割が集中する。
総務省通知
返礼率3割超えないこと
返礼品は地場産品とすること
これを守らない、返礼率3割を超え、商品券や旅行券や電化製品などを返礼品とする50自治体だけが得をする制度が、ふるさと納税の実態となっていました。
平成29年度ふるさと納税で得した自治体です。
第1位 大阪府泉佐野市 135億33百万円です。( ゚Д゚)
第2位 宮崎県都農町 79億15百万円
第3位 宮崎県都城市 74億74百万円と続きます。
ふるさと納税に積極的なのは九州勢です。
ベスト20自治体に、なんと9自治体もランクインしています。
中でも宮崎県と佐賀県が3自治体ずつランクインしています。
3 大阪府泉佐野市の場合
泉佐野市は、関西国際空港を有する市です。
泉州タオルの特産地として有名です。
以前の返礼品は、泉州タオル程度でしたが、ふるさと納税を獲得しようと返礼品と返礼率を充実していきました。
一番人気は、ピーチ航空の航空ポイントです。
また、ビール350ml×24本で1万円寄付、鹿児島産うなぎ、北海道産カニなど通販ショップのように充実し、その数1,000点を超えています。
市長自ら、返礼率は5割程度、地場産品にはこだわらないとして、総務省と真っ向ぶつかっています。
ふるさと納税制度脱退覚悟です。
同省は法改正で規制を強化し、応じない自治体を排除する方針だが、八島副市長は「このままでは参加を断念せざるを得ない」と述べた。
4 泉佐野市の平成30年予算
泉佐野市は、人口約10.4万人の市です。
市予算は、約533億円です。
この中に寄付金(ふるさと納税寄付金)が、なんと28億5千300万円も計上されています。
( ゚Д゚)
予算の約1/20をふるさと納税で計上していることになります。
しかし、実際のふるさと納税額は、135億33百万円です。
この差はどこに消えてしまっているのでしょうか?
推測で申し訳ありません。
副市長は、記者会見で、返礼率は5割程度と宣言しています。
つまり、泉佐野市は、税金で返礼品を67億6,650万円分購入していることになります。
それでも約40億円分の所在が見えません。
総務省現況調査結果によれば、ほとんどの自治体はふるさと納税事務をIT企業等と委託契約を締結しているそうです。
その委託契約料は、寄付金額の1割相当に当たるそうです。
これが正しいとすれば、泉佐野市はIT企業に約13億5千万円もの費用を支払っていることになります。
残りの27億円はおそらくは、人件費、通信代などに消えることでしょう。
つまり、泉佐野市は、135億円のふるさと納税を集めたはいいが、実際に予算として使えるのはわずか1/5で、残りの約107億円は返礼品代金、IT企業委託料、ふるさと納税事務経費に消えています。
その消えたお金は、本来は所得税や住民税として住んでいる自治体に納めるべきお金です。
こんな無駄使いが生じてしまうのが、ふるさと納税を世紀の愚策と呼ぶ理由です。
誰がどう考えても、ふるさと納税は破たんしています。
5 今後給与所得者全員がふるさと納税を始めたら?
ふるさと納税は、年々倍々ゲームのように納税者が膨れ上がっています。
平成29年度の実績は、約3,653億円(対前年度比:約1.28倍)、約1,730万件(同:約1.36倍)にも達しています。
また、平成30年度課税における控除額は約2,448億円(対前年度比約1.37倍)、控除適用者数は約296万人(同:約1.30倍)に過ぎません。
(出典:総務省ふるさと納税ポータルサイト)
国税庁調査によれば、平成29年給与所得者数は、49,451千人です。
つまり、ふるさと納税を申し込んでいない給与所得者は、まだ46,491千人も残っています。
100%の給与所得者がふるさと納税を申し込んだと仮定すれば・・・
ふるさと納税額は、15.68倍に膨れ上がります。
控除額が、3兆3,846億円となる計算です。
泉佐野市と同率の計算とすれば、約79%=2兆6,738億円が、税金の無駄使いとなってしまいます。
消費税10%引き上げの真水額よりも多い額となります。
今後、ふるさと納税寄付金申し込み者が増えれば増えるほど、税金が返礼品代金やIT企業事務委託料に消えていきます。
今の水準で何とかとどまっているのは、ふるさと納税を申し込まない納税者が圧倒的だからに過ぎません。
6 まとめ
いかがでしたか?
ふるさと納税は、返礼率を上げたり、豪華景品にすればするほど寄付額は増えていきますが、制度維持に要する費用もまた増大していく仕組みであることがおわかりになられたでしょうか?
はっきり言って税金の無駄使いそのものです。
それでも国が作った制度です。
制度の範囲の中でフル活用していくことが、私たち納税者の最適な選択肢ではないでしょうか?
それにしても、ふるさと納税は最終的に一番儲かるのがIT企業です。
風が吹けば桶屋が儲かります。
申込者が増えれば増えるほど、歪みが大きくなりますが、IT企業の取り分は増えていくって・・・。
もっと効果的なふるさと創生の方法ってないものなのでしょうか?
いずれ大きな見直しの機会がやって来るのは必定だと思います。
個人的には唯一の実質税額控除なので、ふるさと納税を止めてもらいたくはありませんが。
ブログに愛と真の情報を
それでは