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お金を貯めることを通じて、人生を豊かに生きるヒントを提供する当サイトの管理人「ぱんぱんぱぱ」です。
さて、数年前から、サラリーマンの副業として、アパートマンションなど不動産投資が儲かる記事が跋扈していました。
管理人は、大変危険を感じていましたが、私の知り合いの先輩も退職金をつぎ込んでアパート経営に乗り出しました。
しかし、案の定、サブリース契約(不動産会社による契約保証)があっても、家賃の減額があり、違法だとして、全国で訴訟が相次いでいます。
サブリースの大手は、レオパレス21ですが、これほどサブリースが違法と叩かれても、実は株価は上がっています。
この摩訶不思議なからくりを考えてみます。
素人が不動産投資に手を出すと火傷だけでは済まないことになりかねません。
- 1 ㈱レオパレス21という大企業
- 2 サブリース契約者による集団訴訟
- 3 サブリース事業の適正化
- 4 アパートマンション建設ラッシュに歯止め
- 5 サブリース契約による家賃保証のはずが、減額しても違法ではない理由
- 6 市場は、レオパレス21への訴訟は違法ではないことを予測した動き
- 7 まとめ
1 ㈱レオパレス21という大企業
㈱レオパレス21は、1973年にアパート・マンション・住宅等の建築・賃貸管理及び販売を目的に設立された企業です。
現在はリゾート施設の開発・運営、ホテル事業、ブロードバンド通信事業、介護事業など幅広い事業拡張を進めています。
資本金752億円、従業員約7,900名、売上高5,200億円、経常利益223億円を誇る東証一部上場の優良企業です。
(引用元:ヤフーファイナンス)
経営は実に順調であり、2017年4月の590円を底値にぐんぐん株価は上昇し、8月には800円台の大台に乗せてきています。
4月から計算すると、株価は実に40%近い値上がりです。
しかし、レオパレス21が、業績を伸ばしてきた賃貸住宅のサブリース商法が批判を浴びており、全国で訴訟が相次いでいます。
2 サブリース契約者による集団訴訟
レオパレス21は、賃貸アパートの管理戸数が約57万戸あり、賃貸アパートのオーナー約2万7000人とサブリース契約を締結しています。
一般にサブリース契約とは、契約保証と訳され、基本的に当初10年間は、空室でも家賃を保証するというものです。
これを信じて、オーナーは、賃貸アパートを建設します。
そして、レオパレス21など不動産会社とサブリース契約を締結し、空き室があっても契約保証してくれる安心のシステムの中で、収益を確保するわけです。
この家賃保証に関わる訴訟が、今年2月に起こされていた。
愛知県の男性が05年に同社とサブリース契約を結んだ際、契約書には「家賃は当初10年間は不変」との記載があったにもかかわらず、リーマンショックによる経営悪化を理由に、同社から10年未満で家賃減額を求められたという。
同じように10年未満で減額されたオーナー約50名が代理人弁護士を通じて、9月4日付で同社側に家賃増額一斉請求の内容証明郵便を発送しており、さらなる家賃増額訴訟の予備群となっている。
今回はその内の2人が、合計1214万円の不当利得を返還請求する訴訟に踏み切るのだ。
(引用:週刊ダイアモンド)
しかし、現実には、サブリース契約を締結した不動産会社は、入居者が埋まらない場合は、家賃の減額を求めます。
減額に応じない場合は、サブリース契約を破棄してしまいます。
一見すると違法性があるように見えるサブリースは法的に問題はないのでしょうか?
3 サブリース事業の適正化
国土交通省は、最近、サブリース業者が、賃貸住宅の所有者に対し、借り上げ家賃の改定に関する事前説明を十分に行わないままサブリース原契約を締結し、契約後の借り上げ家賃の減額をめぐってトラブルになる事例等が報道されていることから、サブリース業者に対して、適切な業務の実施を行うように2017年7月29日付けで通知を発出しました。
その内容は
①サブリース原契約を行う際は、将来契約条件の変動があるかもしれませんということを賃貸住宅の所有者に告知した上で、契約しなさい。
②サブリース原契約前に、家賃保証や将来の契約条件について、書面を交付しなさい。
というものです。
サブリース契約にまったく違法性はないけれど、誤解を招かないようにしなさいと言っているに過ぎない通知です。
何かサブリース契約には秘密が隠されているといえます。
4 アパートマンション建設ラッシュに歯止め
サブリースの仕組みは、賃貸住宅の所有者からサブリース会社(レオパレス21など不動産会社)が、賃貸住宅を一括で借り上げて、第三者に転貸するものです。
賃貸住宅所有者からすると、サブリース会社が一括で借り上げ、空室を作らないように宣伝までしてくれます。
また、たとえ空室があっても、10年保証の毎月安定的な家賃収入を得ることができます。
こんなおいしい契約があるからこそ、現在日本中でアパートマンション建設ラッシュが生じています。
また、特に地方銀行は、賃貸住宅の建設費用に融資枠を大きくし、積極的に貸し出しています。
地方銀行の融資残高は、17年3月末時点で、なんと前年比7.2%増の13.8兆円にまで膨らんでいます。
2010年3月末の約8.8兆円から7年間で約5兆円も増えている事態となっています。
反対に都市銀行の融資残高はこの間に約2.4兆円減少し、総額8.6兆円にとどまっています。
あまりの急激な銀行の賃貸住宅融資に、金融庁は、2017年7月に、行き過ぎた不動産融資の締め付け宣言を行いました。
アベノミクスによるマイナス金利政策は、本来は企業への低利融資を拡大し、経済を活性化すべきであるところを、企業がお金を借りないため、銀行は賃貸住宅融資に走っているのが実情のようです。
5 サブリース契約による家賃保証のはずが、減額しても違法ではない理由
サブリース契約が問題になっているのは、契約時に約束したサブリース会社から不動産所有者に支払われる固定家賃が、数年後に減額されてしまい、結果的に家賃が保証されない事態が起きているということです。
誰が見ても違法ではないかと疑問に感じると思います。
まるで契約不履行そのものだからです。
しかし、サブリース業者は、借地借家法上は、実は借主です。
サブリース業者は、賃貸住宅の所有者とサブリース契約を締結するので、所有者との関係性では、法律上借主となります。
所有者から土地や建物を借りる場合は、借地借家法により、借主保護の観点から、借主に強い権限を与えています。
中でも、借主には強行法規の規定が設けられています。
強行法規とは、貸主と借主で交わされた契約の内容に関わらず、その契約を強制的に無効にできる規定のことをいいます。
借地借家法の強行法規の中には、「借主から家賃を減額する請求はできない」という旨の契約を定めた場合、その条項は無効となるとされています。
サブリース契約で、10年間家賃を保証するという契約は、借主であるサブリース会社の家賃減額の請求を認めないということになります。
つまり、この10年保証のサブリース契約は、借主に不利な契約となることから、強行法規により無効になってしまいます。
まるでパラドックスです。
問題は、不動産業者が借主の立場であることです。
借主の権利保護のため制定されているのが、借地借家法です。
しかし、サブリース業者は、実は借主であるため、自ら作ったサブリース原契約は、理由があれば無効になるというロジックが、サブリース問題の根本にある訳です。
借地借家法上、この強制法規は積極的に謳わなくとも、法律上は借主の権利ですが、それではあまりにも不誠実だから、賃貸住宅所有者に対し、しっかりと契約前に説明責任を果たした上で、契約書にも明記して契約しなさいというのが国土交通省の通知の主旨な訳です。
土地所有者に賃貸一括借り上げで、10年保証だから安心と賃貸住宅建設を勧誘し、一括契約を締結するも、入居者が少ないので、借主の権利として、家賃を減額するか、一括契約を破棄すると通告できるところに、サブリース問題の根本的な矛盾がある訳です。
6 市場は、レオパレス21への訴訟は違法ではないことを予測した動き
すでに市場は、サブリースによる訴訟に対して、レオパレス21は有利と見て、株価は上昇しています。
道義上の問題はあるかもしれませんが、法律上は何も問題はないからです。
賃貸住宅オーナーは、サブリース会社や銀行の不動産のプロ集団と比べれば、全くの素人です。
そこにつけこんで、サブリース会社は賃貸住宅経営を勧め、また銀行もアパート経営融資にかつてないほど積極的です。
うまい話には必ず裏があります。
定期預金の金利が0.01%の時代に、満室の場合の利回りが10%なんて、余程の立地条件でない限りありえないことに気づくべきです。
しかしながら、サブリース会社との契約を止めてしまうと、入居者を見つけることだけでも大変なのに、家賃滞納など不良借家人対応も直接しなければならず、とてつもなく厄介なことに巻き込まれてしまう可能性があります。
管理人の実家でも少しばかりアパート経営をしていますが、まったく元は取れていません。
かつて、家賃を滞納した上に、夜逃げした不届き者もいて、約40年の経営で、赤字という全く笑えない実経験を目の当たりにしているので、不動産経営の恐ろしさは、知っているつもりです。
7 まとめ
いかがでしたか。
国内の空き家は、すでに800万戸を超え、人口減少が進む我が国において、アパートマンションの供給過剰は、サブリース会社も銀行も誰もがわかっている上でのアパートマンションブームです。
気がついていないのは、賃貸住宅を経営し、利回り10%の安定した収入を得ようとする人だけかもしれません。
ゆめゆめ不動産投資は、立地条件など需要予測を行った上で、慎重に検討しなければならないと思います。
そうでないと、負の遺産を背負い、取り返しのつかない人生を送ることになるやも知れません。
それでは