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お金を貯めることを通じて人生を豊かに生きるヒントをアツく語る当サイトの管理人「ぱんぱんぱぱ」です。
さて、先日天下の2兆円企業積水ハウスが、地面師にだまされ、63億円の損失を出した大事件が報道されました。
地面師とは、狙った土地をさまざまな手口で自分名義に替えたり、土地所有者に化けたりして、転売し、雲の子を散らすように消えてしまう犯罪者です。
地面師は、狙いをつけた土地をさまざまな手口で、名義を変更し、勝手に売り払ってしまいます。
積水ハウスの件は、決して他人事ではありません。
所有する土地が、地面師に狙われない方法を考えてみます。
- 1 積水ハウスから63億円をだましとった手口
- 2 土地売買の流れ
- 3 最も重要な書類は、登記識別情報(権利書)と不動産登記事項証明書(登記簿謄本)
- 4 地面師の手口
- 5 地面師に対する対抗手段
- 6 日々の備え
- 7 まとめ
1 積水ハウスから63億円をだましとった手口
東京都五反田駅の近くにすでに何十年も営業をしていない600坪の日本旅館「海喜館」があり、森林が生い茂ってしまい、周囲の住民からは「怪奇館」と呼ばれていたそうです。
不動産業者にとっては、都心の駅近くの土地はマンション建設の超一等地であり、「海喜館」は、マンションに化けて、購入額の何倍も利益を生み出す垂涎の土地であったわけです。
そこに、海喜館の土地所有者になりすました人物が、パスポートや印鑑登録証明書を偽装し、あたかも土地所有者そのものであるふりをして、積水ハウスの担当者に近づきました。
不動産売買のプロ中のプロである積水ハウスの担当者は、なりすまし人物を土地所有者本人と思い込み、売買代金(70億円)の9割の手付金や売買予約金63億円を支払ったところ、実は真っ赤な偽物であることが発覚したため、法務局では仮登記を認めず、売買契約は成立しなかったということです。
要は、積水ハウスは「海喜館」の土地所有者であるSさんと信じ込み、売買契約を締結して、予約金63億円を支払ったところ、Sさんになりすました人物に支払ってしまったという事件です。
2 土地売買の流れ
ここで簡単に一般市民が住宅を購入する際の土地売買の流れについて、おさらいしてみます。
これからマイホームを建てる計画のある方も、覚えておいて損はありません。
ステップ1 買付証明書(購入申込書、買付申込書等)を提出
ステップ2 住宅ローン事前審査
ステップ3 宅地建物取引業者による重要事項説明
ステップ4 不動産売買契約
ステップ5 引渡し
欲しい土地があった場合、売主との間に買付証明書(購入申込書、買付申込書等)を提出し、売主が受理した場合、売買契約の優先権を得ることになります。
買付証明書とは、いわば売買契約の交渉権を得るための証明書というべきもので、特に法的拘束力はありません。
管理人も平成17年に住み替えのための土地を探していたところ、偶然天啓のように、雷を打たれた土地に出会いました。
しかし、その土地はあまりに大きく、一介のサラリーマンが購入するには、あまりに高額で、とても無理でした。
半年間悶々とし、土地所有者の○○地所と何度も交渉しました。
幸い、バブル崩壊後の後遺症で、誰もが欲しい土地で問い合わせは何件も入っていましたが、契約までには進んでいないとのことでした。
人生一度きりと妻の後押しもあり、○○地所と買付け申込書を取り交わし、5万円を支払いました。
これで、土地売買の交渉優先権を得たということになります。
いわゆる商談中の土地ということになります。
3 最も重要な書類は、登記識別情報(権利書)と不動産登記事項証明書(登記簿謄本)
土地取引において、もっとも大切な書類が、登記識別情報と不動産登記事項証明書です。
平成17年に105年ぶりに不動産登記法が大改正されました。
土地建物権利書は、登記識別情報に、登記簿謄本は登記事項証明書に代わりました。
登記識別情報とは、12桁の暗証番号で、法務局に登記されている情報を変えることができるもので、これが土地建物の所有権を証明するものとなっています。
管理人も土地を購入した際、権利書をもらえるものと思っていましたが、登記識別情報に代わりましたと司法書士から手渡された時は衝撃を受けました。
なお、登記識別情報は法改正施行後から、適用されますので、以前の権利書は有効です。
また、登記事項証明書は、誰でも入手できるばかりか、インターネットでも入手することができます。
しかも、公図まで入手することができます。
誰もが土地の所有者情報を得ることができるとのことからですが、このことが地面師が跋扈する要因にもなっています。
登記事項証明書は、表題部(土地の住所、面積、用途など)、甲区(土地所有者情報)、乙区((根)抵当権等情報)が記載されています。
登記事項証明書とは、国家が、土地の履歴事項を証明するものであり、最も信頼のおける絶対的な情報です。
土地の売買は、国家が証明する履歴情報があるからこそ安心して取引することができるという訳です。
4 地面師の手口
しかし、登記事項を合法的に改ざんするのが、地面師の手口です。
法務局は、土地所有者が登記事項証明書に記載された土地所有者かどうかを見分ける方法は、当然のことですが、別の本人確認を証明する書類に頼らざるを得ません。
それが、運転免許証であったり、パスポートであったりします。
つまり、運転免許証やパスポートを偽造し、印鑑証明書に登録している印鑑を偽造すれば、合法的に登記事項を変更登記することが可能です。
一般市民は、土地所有はほとんどの場合住宅地であり、不動産業者(宅地建物取引主任者)を通じて売買契約を締結するので、偽造された登記事項証明書による土地取引はありえないはずです。
しかし、積水ハウスの例のように、日本各地で現実に起こり得ます。
5 地面師に対する対抗手段
地面師が狙う土地は、取引が活発な地域で、しかも管理が不適切で、所有者が独居老人で、複雑な権利関係のない土地です。
宅地にもかかわらず、何年も草刈りせずに放置された土地や廃屋は狙われやすいとされています。
地面師は本人になりすますため、さまざまな形で所有者に近づきます。
身分を証明するものや実印は絶対に他人に預けてはなりません。
狙われたが最後、地面師は長期戦で臨んできます。
たとえば、実印を押印して書き損じた紙をそのままゴミ袋に入れて捨てるのは非常に危険です。
ごみ袋は個人情報の塊であり、そういったところから地面師は個人情報を盗み出します。
身分証明書と実印と登記識別情報は、別々に保管しておかなければなりません。
6 日々の備え
マイホームを購入したり、土地を購入すると司法書士から登記識別情報と登記事項証明書を手渡されてそれっきりという方は、ほとんどではないでしょうか。
管理人は、○○地所と売買契約書を締結した際に、担当の土地家屋調査士から告げられました。
年に一度は、登記事項証明書を法務局から、取り寄せて所有権の移動などがないか確認してください。
3か月以内であれば、不正登記防止申出制度があって、警察に相談の上、裁判で争うことが可能です。
実は年に一度ではなく、年に四度でなければ、悪意のある者からの魔手から逃れられないということです。
7 まとめ
いかがでしたか。
積水ハウスの事件は、実は他人事ではありません。
◇地面師に目をつけられないように所有する土地建物は、雑草処理や廃屋処理など適正に管理すること
◇年に一度は登記情報証明書を交付して、所有権の移転がないか確認すること
◇実印や印鑑証明は、他人にむやみに利用されないこと
を徹底しましょう。
最後に管理人の経験ですが、甥っ子が大学進学でアパートを借りるため第三者の入居証明のため、印鑑証明付きの入居保証人承諾書を求められました。
妻の姉の子供ですし、近しい間柄でもあり、承諾書の提出は、了解しました。。
しかし、不動産屋に印鑑証明書を渡せば、場合によっては、3Dプリンターで印鑑を偽造されないとも限りません。
司法書士会に相談したところ、貸し倒れもあり、ないとは言えないがやり過ぎの感もあるという回答でした。
一応対抗手段として、印鑑証明書の空きスペースに、「この印鑑証明書は、入居証明のために用いるものである」旨をボールペンで書いておけば、悪用はしないと思うというアドバイスをいただきました。
しかし、このように実印を安易に使う場合もあり、また本人確認の運転免許証などはしょっちゅうコピーされています。
運転免許証と実印を偽造できれば、一般市民の対抗手段など赤子の手をひねるようなものです。
人生は、石橋は叩いても渡らないくらいの慎重さと臆病さが必要ではないでしょうか。
不安に駆られる情報で申し訳ありません。
それでは